家族信託
家族信託と遺言の違い。「次の次」まで決められる
家族信託と遺言は、どちらも財産の行き先を決める方法です。ただし、効力が生じる時期や、決められる範囲が異なります。
主な違い
| 遺言 | 家族信託 | |
|---|---|---|
| 効力が生じる時期 | 亡くなった時 | 契約した時から(生前の管理も含む) |
| 認知症になった後の財産管理 | できない | 受託者が管理できる |
| 承継先の指定 | 自分の次の世代まで | 次の次、さらにその次まで指定できる(受益者連続型) |
| 撤回・変更 | 本人がいつでも書き直せる | 契約の定めによる(変更の方法を決めておく) |
| 手続き | 公正証書なら公証役場のみ | 契約書に加え、口座・登記の手続きが必要 |
「次の次」まで決められるとは
遺言で「自宅は妻に」と決めても、妻が亡くなった後の行き先は、妻の遺言や遺産分割で決まります。家族信託なら、次のように順番に決めておけます。
- 自分が生きている間:受益者は自分
- 自分が亡くなったら:受益者は妻(妻が住み続ける)
- 妻が亡くなったら:信託を終了し、財産は長男へ
子どものいない夫婦で、自分の家系の財産を最終的に自分の甥や姪に渡したい場合や、再婚して前妻の子と現在の妻がいる場合などに使われます。
併用するのが一般的
家族信託は、信託した財産にしか効力が及びません。信託していない預金や株式などは、遺言で行き先を決めておく必要があります。
- 不動産と管理が必要な預金 → 家族信託
- それ以外の財産 → 遺言
注意点
- 家族信託でも、遺留分を侵害する内容にすると、遺留分侵害額請求を受ける可能性がある
- 受益者が変わるたびに、その時点で相続税(または贈与税)の対象になる
- 何十年も先まで続く設計にすると、家族の状況が変わったときに柔軟に対応しにくい
ポイント
- 遺言は亡くなった後、家族信託は生前から効力がある
- 家族信託なら、承継先を何世代か先まで指定できる
- 信託しない財産のために、遺言と組み合わせる
本記事は2026年10月時点の法令・税制にもとづく一般的な情報です。個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家にご確認ください。

